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あの豚の丸焼を注文してみた
沖縄には豚の丸焼き交差点がある
那覇市の奥武山公園の近くには、沖縄に住んでいる・あるいは訪れたことのある人なら、おそらくほとんどの人が知っているであろう交差点があります。
その名も豚の丸焼き交差点。
ゆいレール奥武山公園駅のすぐ下に位置するこの交差点の本当の名称は山下交差点。しかし、交差点の角に位置する三階建ての建物にでかでかと「豚の丸焼専門店」と書かれているため、この呼び名がついたということは想像するに容易いです。ちなみにご丁寧にもイラストつき。
- ゆいレールからもばっちり見えます
- 車にも豚のイラストが
県外出身の私にとって「豚の丸焼き」というただならぬインパクトの響きに「いつか食べてみたい!」と願っていたところ、昨年のセンチュリーランの後夜祭で感動のご対面を果たすことができました。
美ら島オキナワCenturyRun2011に参加してきた(後編)
わりとさらっと紹介しちゃってますが、このときはかなりテンションあがってます。
そしてとてもとても美味しかったことを覚えています。
注文してみよう
そんな豚の丸焼きの存在を忘れかけていた頃、DEEokinawa共同事務所の事務所開き的なプチパーリーをすることとなり「じゃあどうせなら豚の丸焼き注文しちゃう!?ついでに取材させてもらっちゃう!?」ということで注文してみることにしました。(完全にノリです。)
当日朝、指定された10:30に金城畜産さんを訪ねてみると・・・。
ドドーン!
ババーン!!
いきなりのご対面でした。ドキドキドキドキ・・・・・・・・・・。
お話を伺うのは、金城畜産店主の金城春子さん。
名は体を表すといいますが、本当に春のように穏やかで柔らかい雰囲気の素敵な方でした。
ーこの豚でどのぐらいの大きさなんですか?
これで13kg。いちばん小さいのは10kgなんだけど、3kgはおまけね(笑)
大きいのだと130〜140kgぐらいなるよ。この台いっぱいいっぱいぐらい。
1年ぐらい飼ったら100kgあまるぐらい大きくなるのよ。
この子は子豚だからね。産まれて35日ぐらいかな。
ー35日!?(この子は1ヶ月しか生きられなかったのか...)
焼くのは4時間かかる。これが大きいのになると11時間。
ー内蔵とかはもうとってあるんですか?
そうそう。内蔵とって冷凍された状態で屠殺場から送られてくるのよ。届いた状態ではまだ表面に毛があるから、ごしごし洗ってガスバーナーでつるつるにしている。ひげそったあとみたいでしょ(笑)
ごしごしこするから、もう力仕事ね。
ー豚は鳴き声以外全部食べられるというけれど本当ですか?
はい、全部食べられるよ。皮もまたパリパリ、コリコリして美味しい。
耳は焼きすぎて水分無くなるからちょっと苦味があるかなぁ。好きな人は好きみたい。
最後、あまった骨はスープにしたら美味しいよ。
野菜とか味噌なんか入れて食べてもいいし、皮も味噌汁にしても美味しい。
注文があったら、中にごはんとか野菜とか詰めることもできるよ。また別に5000円かかりますけどね。
これはもう、忙しい時にはお断りしている。
- ぺろり
- きゃっ
ーいつがいちばん忙しいんですか?
12月がいちばん忙しいわね。忘年会、パーティーなんかが多いから。
また沖縄だと、スラブ打ちってわかる?コンクリ打って2階・3階作るときの。あのスラブ打ちのときなんかにも注文されるわね。あとはお誕生日とかかな。
また内地からの注文もけっこう多いよ。今日も兵庫県に送る分を、あとからOAS航空さんがとりに来るよ。
ーここは何年ぐらい営業されてるんですか?
そうねー、営業は40年ぐらいなるんじゃないかな。
那覇ではここだけかもしれないね。名護にはあるはず。
内地では子どもたち家族が大阪でお店やっているよ。
あとでホームページ見てね。黒島さんというのが載っているから。
ー大きさによる味の違いってあるんですか?
ううん、時間かけてきれいに焼いたらどんなに大きくても美味しい!大きさにあわせて焼くから。
これは石油バーナーの窯で、周囲からあたためる。直接火はあたらないのよ。
ひとりでちょっと寂しいわね〜(笑)
まとめて焼けたほうが本当はいいけど、こればっかりは注文のタイミングはお客さん次第だから。
前に比べて石油も倍ぐらいになってるから大変。
じゃ、閉めまーす。
(ギギギギ....)
(ガチャン)
じゃあ、後からとりにいらっしゃいね!
ーはい、迎えに来ます!豚ちゃん、美味しく焼いてもらうんだよ〜。
店内はあっちに豚こっちに豚
玄関側にまわると紅型の布をかけられた、床に横たわる物体が。
これってもしかして...?
- ぺろり
- きゃっ
3日後の注文分を解凍しているところだそう。
丸焼き以外にも、豚肉のパック売りもしているそうです。
豚には見えないイラストがやけにかわいい。
奥の大型冷凍庫のなかには豚のストックがごろごろいました。
お迎えの時間
そして4時間後...
アルミホイルに包まれた大きな物体を連れて帰ってきました。
ハラリ。
わーーーーーーーーーーーーーー!!!!!
なんというのでしょうか。
たちこめる美味しそうなにおいにプリミティブな喜びが湧いているのですが、焼く前の姿を思い出して少し複雑な心境...。
入刀。
耳のリボンはNaokiがつけてくれました。
かおるちゃんと命名してみました。
豚肉のうまさをまるごと味わえる
そしてサクサクと解体されていくかおるちゃん。
ひとくち食べて驚き。
これがもう、すこぶる美味しい!
ごろっと外れる身は油っぽくなくぷりぷりジューシー。
しかも焼き上がりから3時間ほどは経っているはずなのに、まだアッツアツ。
どんどん食が進みます。
- コラーゲンたっぷりな皮の部分。
- レバーっぽい部分。ちょっと苦かった。
ちょうどお腹のあたり。
内蔵を抜いた部分なので身が落ちて皮との間に隙間ができていますが、ジューシーな身がこれでもかとたっぷりついています。
最後まで美味しくいただきました
パーティーも終盤。かおるちゃんはこんな状態に。
短っ!
食べた終わった部分からパーツをくっつけて縮めてみました。
まだまだ身がとれる!
頭部、後ろから。なんかの骨と管みたいなのが見えますね...。
というわけで最後まで美味しくいただきました。
残った皮や身のついた骨は、後日スープにすべく冷凍保存中。
今回豚の丸焼きを通して、普段スーパーで買い物するときにはなかなか意識しない「命をいただいている」という実感がひしひしと湧きました。
もちろん解体するのがちょっと怖くもありましたが。
食育の面からも、小さい頃からいちどはこういう「他の生き物の命を頂いて自分たちが生きている」という経験をしてみるのもいいかもしれませんね。
ありがとう、かおるちゃん。そして春子さん。
くわっちーさびたん。
豚の丸焼専門店 金城畜産
〒900-0027
沖縄県那覇市山下町29-1
TEL/FAX:098-857-1026
https://web.archive.org/web/20110128193121/http://www.butanomaruyaki.com/(ドメインが最高ですね!)
(2016/04/06追記:リンク先URLがなんか卑猥なサイトになってたので在りし日の姿が確認できるページにリンクを変更いたしました。)