2018.09.21

お盆の後夜祭、沖縄市古謝の獅子道ジュネー

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沖縄の旧盆といえば、エイサーだけではありません。獅子舞だってあるんです。

沖縄のお盆(旧盆)が終わってだいぶ経ってしまいましたが、みなさん今年のお盆はいかがお過ごしになりましたか?お供え物や料理の準備、親戚が集まって大賑わい・・・などが遠い昔のように感じられます。そりゃ、もう9月ですもんね。

まだ各地で、エイサー大会は行われていますが、沖縄のお盆の風物詩はエイサーだけではありません。綱引きや獅子舞が行われる地域もあります。

遅ればせながら今回は、地域色豊かなお盆の後夜祭ともいうべき行事をご紹介します。

お盆=祖霊の帰還

そもそも、お盆とは何か?から考えてみましょう。お盆は旧暦の7月13日~15日(地域によっては16日)、あの世から帰ってくるご先祖様をお迎えして歓待することで、子孫である我々の幸福や健康を祈る行事です。


糸満市真壁のとある家庭のウークイの様子

旧盆の時期はあの世とこの世があいまいになるので、盆の最終日のウークイ(お送り)では、しっかりご先祖様をお送りします。でも、子孫がいない霊はどうなるの? 「帰りたくない」ってダダこねる霊はいないの? もし、霊がこの世に残っていたら、悪霊たちが人間に災いをもたらすと考えられていました。

そこで、盆が終わった後、旗頭や獅子を先頭に集落を練り歩き、悪霊を払い、村を清めるようになったのです。


これは沖縄市上地の旗スガシ

過去にdeeでは、旧盆ウークイの翌日に獅子舞をする、石垣市白保のイタシキバラを紹介しましたが、今回レポートする、沖縄市古謝の獅子は主に道ジュネーをします。「道ジュネー」とは、日本語で言うと、集落内を練り歩く祭事のことです。

 

獅子とムラをまわろう!

それでは、沖縄市古謝の獅子の道ジュネーを見ていきましょう。沖縄市古謝で道ジュネーに使う獅子は特に「神ジーシ」「獅子ガナシ」などと呼ばれる特別な獅子で、地域を守る神様として大事に扱われます。

古謝の獅子は、カミヤーと呼ばれる建物に、大事に保管されています。獅子が姿を見せるのは旧暦七夕の虫干しの日と、旧7月16日の道ジュネーの日だけというかなりのレアキャラです。

夕方5時、カミヤーに人が集まりだしました。

自治会長や役員がカミヤーで線香や酒を供えて拝みをした後、獅子をカミヤーから出します。

人が入り、獅子が動き出します。

初めに獅子が行く場所は「トゥン」と呼ばれる祠です。


お揃いのTシャツ、いいなぁ。

古謝のトゥンはアシビナ(村芝居などを行う遊び場)の中にあります。獅子が道ジュネーするような古い集落のカミヤーやトゥンは、大抵は集落の端(高いところ)にあり、そこから家々が放射状に広がりながら集落が発展する様子がわかることがあります。獅子の行く先から村の成り立ちを想像できるのも、年中行事としての道ジュネーの楽しみです。

夕方とはいえまだ陽も高く、獅子をかぶると体力の消耗が激しいそうです。そのためか、昔は神獅子をかぶることも「ミョーガ(栄誉)」の一つとされていたといいます。今では、熱中症対策の意味合いもありますが、かなり短時間で獅子に入る人が替わります。

神獅子に入ることが名誉なのに変わりはないようですが、旧盆の翌日なら平日にも道ジュネーが行われるため、中に入る若い人が少ないのが課題です。

音を鳴らしながら、獅子が村を清めます。鐘の澄んだ音が涼しさを運んでくれるようです。スピーカーで録音した音を鳴らす地域もありますが、古謝は三線、ホラガイ、鐘が生演奏されます。

道ジュネーの行列は歩いて移動し、要所ごとに止まって獅子舞をします。

古謝は村に石の獅子が3つもあり、神獅子はそのうち2か所の石獅子のそばで舞います。石獅子は集落の境界に配置されているため、村を清めるのにピッタリ。昔はムラとムラの間にはかなり距離があり、境界の空地で獅子が踊ったそうですが、最近は住宅化が進み、境界がわかりにくくなっています。


獅子が通り過ぎた後の人々の様子。

大人の笑顔と子供の不安げな顔のコントラストが印象的でした。


最後にカミヤーに戻り記念撮影。

1時間弱で道ジュネーが終わりました。

古謝の神獅子は、以前の更新から60年たち、交代の時期に来ているそうです。来年からは新しい獅子が、また古謝を清めてくれることでしょう。

道ジュネーの後、自治会長が「ムラがきれいになったよ」と話されていたのが印象的です。沖縄市では、集落の神事も自治会長が務めるため大変そうですが、このような行事が、これからも続くことを願ってやみません。

 

終わりに

というわけで、今回はあまり目立たない「お盆の後夜祭的なイベント」として、古謝の獅子の道ジュネーを紹介しました。これらの行事はエイサーと違い、あまり注目されなかったからこそ、ムラごとの特色が色濃く残っています。後継者の不足などに悩まされている自治会を励ます意味でも、ぜひ足を運んでご覧になってください!


沖縄市役所を訪問して清める胡屋・仲宗根の神獅子

余談ですが、沖縄市胡屋・仲宗根にも獅子がいます。

ここの獅子はアグレッシブですが、調子に乗って子供を泣かしすぎると、手前の親父さんが獅子を引っ張り大人しくさせます。見ていて獅子よりおっかないのでお勧めです。そんな地域ごとのバリエーションも沖縄の獅子の魅力かもしれません。

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