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今も元気に営業を続ける貴重ないっせんまちやー「坂田文具店」
今に残る貴重ないっせんまちやー(駄菓子屋)のひとつ、西原町坂田にある"さかぶん"こと坂田文具店。地域の子どもたちを見守る、やさしいおばちゃんが営むレトロで素敵なお店だった。
西原町坂田にある"さかぶん"こと坂田文具店
色とりどりのお菓子がずらりと並ぶ子どもの楽園、駄菓子屋。
沖縄ではウチナーグチで「いっせんまちやー」「まちやーぐゎー」と呼ばれたりもします。
この"いっせん"とは一銭ではなくアメリカ通貨の1セントのことらしく、戦後、沖縄がアメリカ統治下に置かれていた時代に、1セントで買えるお菓子がたくさん置かれていたことからそう呼ばれるようになったという説があるそうです。
現在40代の私が子どもの頃は街のあちこちに駄菓子屋があり、100円玉を握りしめて兄弟や友達と一緒にワクワクしながら買い物をしていました。なんとか予算ギリギリまで買うために、頭の中で計算しながらお菓子を選び、会計のときは足りるかどうかいつもドキドキしていたことを思い出します。
しかし近年ではコンビニエンスストアやスーパーマーケットの台頭や、社会環境やライフスタイルの変化などにより、全国的に駄菓子屋さんは激減。子どもが多いことで知られるここ沖縄でも、一部の大型ショッピングモールの中のテナントとして駄菓子屋があったりはしますが、個人商店の駄菓子屋を見かけることはほとんどなくなりました。
そんななか、今も元気に営業を続けている貴重な駄菓子屋の1軒が、西原町坂田にある"さかぶん"こと「坂田文具店」さんです。
場所は西原町立坂田小学校のすぐ目の前。緑色のテント屋根が目印です。
訪れたのがちょうど下校時刻頃だったので、たくさんの子どもたちで店内外が賑わっていました。
店頭にはレトロなゲーム機が二台。左側は故障中のようですが、右側のじゃんけんマシーンは現役で稼働中。
反対側にはガチャガチャも置かれていました。もう入口の佇まいからして懐かしさが全開。それでは入ってみましょう。
こぢんまりとした店内は、足元から天井までたくさんの物で埋め尽くされていました。
天井からぶら下がる飛行機のプラモデルやボンボン時計、無造作に置かれた冷蔵庫。そしてフロアタイルの色あいからして、昭和のあの時代がそのまま詰め込まれたような懐かしい空間に胸アツです。
店に入って正面がカウンター、左側奥に駄菓子コーナーがありました。
棚に並んでいるのはもちろん最近製造されたお菓子なのですが、昭和のあの頃とまったく変わらない雰囲気。ちんすこうや黒糖も並んでいるところに、ちょっとした沖縄らしさを感じます。
カウンター周りには、ケースから取り出して1個単位で買える梅干しや黒糖、げんこつアメ、チョコレートなどがずらり。1回10円のおかしくじもあります。
消しゴムくじは1回50円。今も昔も変わらないファンシーな消しゴムたちにときめきます。
店主はなんとあの「門の家(じょうのや)」の奥様
坂田文具店の店内を見渡すと、年代物の雑貨や電化製品などがやけにたくさん並んでいることに気が付きます。これらはなんと、以前西原町にあった沖縄そば屋「昭和空間 門の家」から移設したものだそう。DEEでも、2013年、2017年と紹介していました。
昭和にタイムスリップできるそば屋がある(2013.04.11 公開)
あの『門の家』移転リニューアルオープンせり(2017.12.21 公開)
それもそのはず、「坂田文具店」と「門の家」の店主さんはご夫婦なのだそう。
残念ながら「門の家」はもう閉店してしまったとのことですが、店内に並べていたものの一部を、さかぶんでも展示販売しているのだそうです。
昔の雑誌やレコード、人形、ブリキ缶、三線、プラモデルなど、マニアにはたまらないお宝が満載。
一緒に行った10歳の息子が「本物のそろばんだ!」とテンションあがっていました。
門の家のご主人もお元気で、時々こちらのお店に来ているそうです。
80円で小腹を満たせる「たこせん」もある
そしてなんと驚くことに、「たこせん」があるではありませんか!
注文すると、おもむろにカウンターにチラシを置き、その上でたこせんを作ってくれます。たこ焼きはのっていないので、正確には「せんべー」というわけですね。お値段は80円。
「お菓子の棚から好きな味のラーメン菓子をとってきて。そのへんにあるから」
「そこの冷蔵庫からマヨネーズとってくださる?」
たこせんにのせるラーメン菓子やマヨネーズはセルフで取ってくるという、なんともほっこりとしたやり取りがありました。
「こうやっていつも子どもたちに手伝わせてるのよ」とおばちゃんは笑って言います。
せんべいの上にソース、ラーメン菓子、マヨネーズ、青のりをかけ、最後にお好みでカレー粉か七味をかけて完成!
子どもと半分こしていただきました。懐かしくておいしくて、また我が子と一緒に食べているというのが感慨深くて思わず泣きそうでした。涙腺ガバガバでやばいです。
ソースと七味がちょっと辛かったのか、ジュース飲みたい!と所望したので、「バナナオムレットソーダ」というすごい味のジュースを購入。店頭の自販機はもちろんチェリオ。今どき100円というのも泣かせます。バナナオムレットソーダは意外とおいしかったです。
子どもに「今日は好きなだけ選んでいいよ」と選ばせて280円分の駄菓子を購入。チラシを折って作った手作りの小袋がまた素敵です。
今も元気に営業を続ける貴重ないっせんまちやー、"さかぶん"こと「坂田文具店」。
「おばちゃーん!今日もきたよー」
「黒糖いっこ買おうかな」
店先にランドセルを置いてお菓子を買いに来る子どもたちと、やさしく声をかけながら見守る店主のおばちゃん。
現代にもこんな店が残ってたんだなーと感慨深くなりました。
あの頃子どもだった方も、現役で子どものみんなも、ぜひ小銭を握りしめて"さかぶん"のおばちゃんに会いに行ってみてくださいね。懐かしい「たこせん」もお忘れなく!
坂田文具店
住所:〒903-0017 沖縄中頭郡西原町翁長462番地
TEL:098-945-9012
営業時間:12時〜20時(異なる場合あり)
定休日:日曜
駐車場:無し