【大人の社会見学】食品サンプルの山月

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食品サンプルとは言わずと知れた飲食店の店頭あるいは店内に陳列される料理の模型。そんな食品サンプルをまるで魔法のように作り出す工房にお邪魔してきました。

(2012.01.24)

沖縄食材の食品サンプル

飲食店のガラスケースに並ぶ食品サンプル。
はじめて行くお店ではサンプルを見て入ろうかどうか決める方も多いはず。

一般的に想像するのはパスタやお寿司、カレーなどのサンプルですが、独自の食文化をもつ沖縄では他の地方ではなかなかお目にかかれないサンプルが並びます。

全国定番の寿司
沖縄定番の沖縄そば
リアルなてびち
オリオンビール

これらはぜんぶ食品サンプル。

沖縄以外では使わないであろうサンプルは一体どこで作られているのでしょうか。
食品サンプル制作屋さんが多い県外?
人件費の安い海外?

いえいえ沖縄には唯一、沖縄食材のサンプル制作会社さんがあるのです。
その名も「沖縄 食品サンプルの山月(さんげつ)」

独自の食文化を持つ沖縄でのサンプル作りはいかにして行なわれているのか。
通常は工房見学はされておりませんが、特別に許可を頂いたのでウキウキと行って参りました。

工房見学の前に

山月さんは2階に工房、1階は各種サンプルが買えるお店になっております。
工房を見学させてもらう前に、まずは山月さんではどのようなものを扱っているか予習してみましょう。

お店に入るとすぐに目に入る大きなガラスケース

彩りが鮮やかだこと!

商品を見てみると、

ゼブラパン
イラブー(ウミヘビ)
沖縄行事に欠かせない重箱九品セット
チラガー(豚の顔)

などなど。沖縄のオンパレード。

また陳列用のサンプルだけでなく、実用的なものもあります。

くるま麩のペン立て
くるま麩工場社会見学はこちら
サーターアンダギーマグネット
ちんすこうキーホルダー
ムーチー

一部実用的なのかわからないものもありますが、見ているだけで本当に楽しい!
ではテンションもあがったところで、そろそろ2階の工房に行ってみましょう。

工房へ

こちらが山月の屋良社長。

屋良社長にお話を伺いながら工房を見学させていただきます。

レストランの厨房と美術室をあわせたような工房。

レストランなのか実験室なのか混乱してきます。

おもむろに置かれたチョコレート。

奥が本物だそうですが、手に持たないとわかりません。

見慣れない光景その1。机に生肉。

もちろん食品サンプル。

なんでも作れるそうです

—沖縄食材は県外とは違った制作過程なんかがあるんでしょうか?

社長:
沖縄食材だからといって特別な違いはなくて、食品サンプルは形を整えればどんなものでも作れる。
そもそも、この世界は教科書がなくて各工房や職人さんたちのアイデアや工夫で成り立っているところがある。
だから作る過程はどんな風であれ最終的に商品になりさえすればいいというか。
ただ樹脂によって柔らかいもの、固いものという違いはあるので、例えばせんべいを作るときは固いものを使うというような工夫はしてるよ。
せんべいの形だけではなくて原料自体が固くないと硬さは伝わらないんからね。
触ったらもちろん固いのと柔らかいので違うんだけどそういうことではなく。
うまく言えないけど、その違いがリアリティに繋がるのだと思う。

柔らかそうなバームクーヘン
パリッとしてそうなベーコン

社長:色なんかも全部自分たちで調合しているよ。

薄茶色だったテビチに濃い茶色を塗ると煮付けの醤油だれのようにテカテカと光り出しました。

魔法みたいに一瞬の出来事でした。

制作行程をみせてもらった

社長:
沖縄の気候ではケースに入れていると熱くなってロウで作ったサンプルは溶けてしまうから、はじめた頃は素材を工夫したよ。
今は熱硬化樹脂を使っている。
硬化樹脂は元々は透明な水のようなもので、熱を加えると固まる性質がある。

これが熱硬化樹脂

緑色に色付けされています。

社長:これで何が出来るか考えてみて。

1.温めたプレートに樹脂を流し込む

2.プレス

3.プレートの熱で樹脂が固まりました

4.プレートからはがす

5.形を整えて色付け

6.正解はパイナップルの葉っぱ

葉っぱって!
そんなの細かすぎてわかりません。

プロ相手だから勉強になって楽しい

お話を聞いている最中もしきりに「本物ですよね!?」「すごい!」とはしゃいでしまう私。

これもサンプル。

社長:
でもプロの人は目が肥えているよ。
僕らはいろんな業界からサンプルを頼まれるでしょ。
みなさんそれぞれにその道のプロなので、例えば肉屋さんだったら「この白身はストレスがあるときに出る白身だから、サンプルには入れないで」と、とても丁寧に商品のことを教えてくれる。
お菓子屋さんだったらオーブンを開けてたくさん並んだお菓子の中から「この色じゃないよ、この色でもない。この色にして欲しいんだ」とか。

普通は肉は肉だし、焼き菓子は焼き色が付いたらいいと思うでしょ。
大変だけど、でもそのこだわりがプロなんだし、我々もサンプル職人として、ちゃんとプロの目を意識して作らないといけないと思っている。

これは刺身

肉も刺身もお菓子も作るのがサンプル職人なのである。

社長:
この商売は何かというと付加価値の商売だから。
現物を並べておくと痛んでくるし、その度に交換するのも大変。
本当は現物の方がいいはず。
でもそれをサンプルに変えてもらう。だからあくまでも付加価値の仕事なんでどこかで妥協してもらうことは必要。
でもその道のプロの人は妥協してくれないし、(一番良い状態のものを)と期待はどんどん膨らむ。
だからコミュニケーションはやっぱり必要。
要求が多いほど見積もりにも反映してくるし、どういうものを必要としているのか、
商売用なのか、研究用なのか、おもちゃなのか、何に使うかでクオリティも違っていいはずだし、価格も変わる。
だから一概に見積もりは出せないけど、ありがたいことに注文が来たらほとんど納品まではできているよ。

たくさん使う物は作りだめしているそうです。

見慣れない光景その2(引き出しに天ぷら)

天ぷらの注文が来たらすぐに出せるそうです。
ただし食べられないけど。

食品サンプル職人になりたくなってきた

1時間ほどお話を聞かせていただいて、最終的には真剣に転職を考えていました。
私の職が変わってどうする。

1個からでも制作可能だそうなので、こんなサンプルを作って欲しいというご要望があれば山月さんに相談してみてはいかがでしょうか。
『食品サンプル 山月(さんげつ)』
http://www.sangetu-okinawa.com/

最初にご紹介したお店にもぜひ行ってみてくださいませ。
『shopムーンリトル』
〒900-0013 沖縄県那覇市牧志3丁目23番34号
電話番号:098-866-1024
営業時間:9:00~18:00
定休日:日・祝祭日(土曜不定休)

 

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