2014.04.18

古き良き琉球切手デザイン

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かつて沖縄で『琉球切手』というものが発行されていたのをご存知でしょうか。独特の色彩とデザインを見てみましょう。

琉球切手というのをご存知でしょうか?

沖縄では、1945年から本土復帰する1972年まで独自の切手が発行されていました。
1945年〜1950年までは民政府による発行。
1950年〜1972年までは琉球郵政庁による発行。

琉球切手は、正刷の始まった1948年の初版発行から1972年まで、24年間で発行された全257種。沖縄独特の色彩と題材で彩られた琉球切手は、世界中の切手愛好家に人気があったそうです。

今回は僕が持っている琉球切手の中から数種類を紹介しましょう。

最初の琉球切手

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1948年発行。初版7種類のうちのひとつ。このほかに、百合、農夫、ソテツなどが描かれています。
発行したのは沖縄民政府で、まだB円の時代。B円というのは米軍占領下で流通していたB型軍票のこと。

1958年になると、法定通貨がドルに変わり、切手もドル表記に変わりました。
ドルから円へ移行の時は、当時の離島には銀行がなかったため郵便局員が出向いて通貨の交換にあたるなど、昔から郵便局と人々の関わりは深かったのです。

これより前、1945年10月から1946年5月まで発行された久米島切手というものがありました。
1945年6月の米軍統治後、これまで使われていた日本切手は廃止され、10月に発行された暫定切手。発行されたのはわずか130シート(1シート24枚)。謄写版印刷で、KUMESHIMA-7SENの文字に、久米島郵便局長之印が押されたものでした。この切手、非常にレアで相場は30万円を超えるという話です。

ペルリデザイン

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1953年発行。ペルリ来琉百年記念切手。ペルリとはご存知、アメリカ海軍マシュー・ペリーのこと。このデザインは、那覇港にやってきたときの様子でしょうか。
ペルリ来琉百年記念切手はもう一枚発行されていて、そちらは首里城での様子が描かれています。

組踊デザイン

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執心鐘入
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二重敵討

1970年発行。
沖縄の伝統芸能『組踊』がデザインされた切手は、全5種類発行されています。そのうちの執心鐘入と二重敵討の2枚。
このほかには、人盗人、銘苅子、孝行の巻が描かれています。

民族行事デザイン

1969年から70年にかけて発行された民俗行事シリーズ全5種類のうちの4つ。ここにはありませんが、もうひとつには綱引きが描かれています。

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ウンジャミ
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イザイホー
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ウシデーク
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ハーリー

左上はウンジャミ。
旧盆明けの亥の日に大宜味村塩屋では『ウンジャミ』という行事が行われています。詳しくは、大宜味村塩屋のウンジャミにいってきたを見てみてください。

右上はイザイホー。
久高島で12年に一度行われるイザイホーは、島で生まれ育ち、島出身の男性に嫁いだ女性が、神人行事に参加するため、神女としての洗礼を受ける儀礼。残念ながら1978年を最後に、現在まで行われていません。

左下はウシデーク。
ウシデークとは簡単に説明すると女性の輪踊り。円陣になり歌って踊ります。DEEの記事でもちょろっとだけ登場していますね。国頭村奥集落の伝統行事「ビーンクイクイ」を見て来た。

右下はハーリー。
毎年旧暦の5月4日(ユッカヌヒー)に沖縄各地で行われる爬竜船競漕。
糸満ハーリーでは一般参加の競技があり、DEEでも紹介しています。アヒル取り競争に参加してきた

エアメール

航空切手(エアメール)は全30種発行されています。そのうちの4種類。

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風神
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天女
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飛行機とトゥイグワー
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飛行機と守礼門

上の2枚は1961年発行。緑の風神の他に、赤い風神もあります。
右上の天女は1957年に発行された航空切手と同じデザイン。天女はこの他に2種類あります。

左下は飛行機とトゥイグワー。トゥイグワーとは鳥小のこと。琉球かすりの図柄で最も多く用いられているものです。琉球かすりについては「南風原町かすりロード」を歩いてみたをご覧ください。

空手デザイン

1964年から65年に発行された空手デザインは全3種類。
空手は沖縄発祥。14世紀頃、中国から伝わった拳法と琉球古来の武術「手」とが交わって生まれたとされています。組手と巻藁以外に、ナイハンチが描かれています。

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組手
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巻藁

完成記念デザイン

いろいろな施設などが完成・落成したときに発行された切手。
琉球大学開校記念や、海中展望塔完成記念、琉球政府立博物館新館落成記念などがあります。

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那覇市新庁舎落成記念
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奥武山陸上競技場完成記念

電波系デザイン

電波系のデザインは4種類。
この他に、沖縄本島・先島間UHF回線開通記念と、日琉マイクロ回線開通記念のデザイン違いがあります。

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宮古・八重山テレビ放送局開局記念
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日琉マイクロ回線開通記念

日琉マイクロ回線開通記念は、1964年に本土のテレビが沖縄と同時放送を開始した記念。1963が二本線で消され1964になっているのは、使用料金や時間調整などですったもんだあって開通が遅れたため。

週間記念切手

いろいろな週間を記念して発行された切手。これ以外にも様々なデザインが発行されています。

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新聞週間記念
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文化財保護強調週間

新聞週間記念は鉛筆がロケットになっている攻めのデザイン。文化財保護強調週間は、石垣島にある桃林寺の仁王像。沖縄で最古の木造建造物で少しだけ出ています。

その他にも

野國總管甘藷伝来350年記念(現在の売値で4000円くらいする)や、東京オリンピック沖縄聖火リレー記念、偉人シリーズや民具シリーズ、カニシリーズなんてものもあります。

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ハワイ移住70年記念
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沖縄海岸政府立公園

ハワイといえば沖縄料理のお店に行ったこともあります。【世界の沖縄料理店から 】サンライズ(ハワイ州・ホノルル市)

沖縄返還協定批准記念切手

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1972年発行。沖縄返還の年に発行された『沖縄返還協定批准記念切手』は、琉球郵便最後の記念として、後で価値が出るはず!とみんな並んで買ったそうですが、結局その後は使うことも出来ず、売れもせずであったとか。。

1960年発行の切手から『RYUKYUS』が表記されるように。『RYUKYU』ではなく『RYUKYUS』と複数形なのは、沖縄が群島であるため。

琉球切手を全て見たいなら

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那覇市壺川にある那覇中央郵便局。この2階に沖縄郵政資料センターがあります。

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琉球王朝時代から戦中、戦後に至る郵政や通信手段の歴史資料が展示されています。
もちろん琉球切手もすべて見ることができます。

沖縄郵政資料センター
那覇市壺川3-3-8 那覇中央郵便局2階
9時から17時
土日祝は休み

また沖縄県内にある、コインや切手を扱うお店で多く売られています。安いものは30円くらいから売られているので、お土産に買ってみるのもいいかもしれませんね。

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