2014.06.18

【大人の社会科見学】久米島の海洋温度差発電

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久米島に海水を利用した発電プラントができたらしい。多くの国で研究はされているものの、商用化を視野に入れた設備としては世界初とのこと。いったいどんな設備なのだろうか?

以前、世界で唯一の発電所として「沖縄やんばる海水揚水発電所」をご紹介させていただいたのを覚えているでしょうか?
世界で唯一の発電所が沖縄にあるってすごいなーと思ったものですが、久米島でも世界で唯一商用化を視野に入れた発電実証試験設備が2013年に運転を開始したそうです。
いったいどんな設備なのでしょうか?

久米島の海洋温度差発電プラント

こちらが世界で唯一の発電実証試験設備である「海洋温度差発電」プラント。

久米島では海洋深層水をくみ上げている612mの深さにちなんで、6月12日が「久米島海洋深層水の日」に制定されており、私が行った日はちょうど深層水の日のイベントとして施設の見学が行なわれていました。
※通常は月~金の9:00~17:00に申し込めばスタッフの方に案内をしてもらえます。

さっそく見学を申し込んだところ、タイミングが悪かったのかその回の見学者は私だけ(先ほどの回までは盛況だったそうですが)。
開始時間になっても他の参加者が現れなさそうだったのでひとりでの見学がはじまりました。

イベントならではの発電施設クイズ「○か×か」のようなものも、私だけのために出題してくれるのでなんだかとっても切ないようなこそばいような気持ちになりました。


「それでは次の問題です!」
「あ、はい」

海洋温度差発電ってどんなもの?

さて、ここでざっと海洋温度差発電について説明をさせて頂きます。
海洋温度差発電とは、太陽光で暖まった表層の海水と、深海の冷たい海水との温度差を利用して電気を作る仕組み。

火力発電では水を火で温めて蒸気を作り、その蒸気で発電機をまわして電気を作ります。


火力発電の場合

海洋温度差発電も大まかな流れは火力発電と同じ。
使うのが火と復水器ではなく、温度差のある2種類の海水に変わります。

沸点が低い液体を、25〜30度の海水(表層)で蒸発させた蒸気で電気を作り、発電後の蒸気は水深612mから汲み上げられた8〜19度の冷たい水で冷やし液体に戻します。そして液体はまた温かい水で蒸発し発電、そして冷たい水で液体に、とずっと利用される仕組みだそうです。


赤いパネルで蒸発、青いパネルで液体に

なぜ久米島にあるのか

なんとなく仕組みがわかったところで、ではなぜ久米島にこのプラントが作られたのかという話ですが、この仕組みに必要なのは海面の温かい水と、深海の冷たい水。表層と深層の水温が年間平均で20度以上必要でその差が大きいほどに良いそうです。

この条件をもつ日本の地域は四国の一部と小笠原以南の島々。


赤い部分は海面の温度が高い

沖縄はこの条件をバッチリ満たしています。
その沖縄の中でも陸地から深海までの距離が2.3キロとすごく近いのが久米島。


施設から見える海。すぐそこから深層水を汲んでいるらしい

つまり久米島の海は表層の温度が高く、また深海からの冷たい水も近海にあるという利点で施設が作られたそうです。

たしかに久米島と言えば海洋深層水が有名です。
久米島から海洋深層水のミネラルウォーターや塩などさまざまなものが商品化されているのも納得です。

実用化は可能なのか?

現在実証試験プラントで1時間に50KW発電されているそうです。これは120世帯の電気量をまかなえる量。
久米島には3800世帯あるので、設備が10機分の5MWの発電ができれば島全体の電力をまかなえるそうです。
そして、沖縄本島全域の電気をまかなうとしたら100MWが必要。

途方もない発電量のように思えますが、海に大型の発電プラントを浮かべれば可能だそうです。

スタッフの方のお話では技術はあるのでいつでも実用化はできるとのことでしたが、問題は費用。
廃棄物を出さず燃料にも限りがない再生可能エネルギー発電であり、また天候に左右されることがない安定さをあわせ持つものの、海に発電プラントを作るとなると費用がかかってしまいます。

すなわち、電気料も高くなるんじゃないの?と思ってしまいますが、この技術のすごいところは使用後の深層水を水産業、農業、空調などに複合利用することができるということ。

汲み上げた深層水は発電後も水質に変化がなく水温も低いまま。
すでに久米島のほうれん草栽培は海洋深層水を利用して地熱を冷まし、冬野菜のはずのほうれん草が夏でも行なわれているそうです。また同じく海ぶどうも、深層水ならではの栄養価が高く綺麗な深層水を利用して作られているので人気があるそうです。

今後、海洋深層水を利用できる複合施設がもっと増えればその分だけ電気料は安くなり、また複合施設によって新たな雇用が生まれることも期待できるとスタッフの方は力強くおっしゃっていました。


いつか久米島の海の近くの土地には、海洋深層水を利用したたくさんの複合施設ができるのかもしれません

もちろん日本だけでなく技術を持って行けば世界でも利用可能なので、久米島、日本のみならず、世界のためにも有益な発電システムと言えるのではないでしょうか。
実際にいまでも久米島にたくさんの国から視察が来ているそうです。

ということで、海洋温度差発電にはたくさんの可能性がありそうなのでした。
今後の展開に期待しましょう!

最後に、久米島と海洋深層水の深い結びつきを発見したので載せておきます。


居酒屋メニューに海洋深層水

沖縄県海洋温度差発電実証設備

〒901-3104 沖縄県島尻郡久米島町真謝500-1
http://otecokinawa.com/

※施設見学を希望される方はサイトから申し込んでください

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