2017.09.20

宮古島の人とオトーリの深い関係

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沖縄県のアルコール性肝疾患の死亡率は全国平均の約2倍。どうしたら私たちはお酒とうまく付き合えるのでしょうか。お酒が強い人が多いイメージの宮古島に行って、宮古島の飲酒の風習オトーリの現状について伺った

あっり乾杯!

みなさんお酒飲んでますか?お酒は好きですか?
飲んでますよね?大好きですよね?

しかし、飲み会の頻度が多く、飲む時間も長い傾向にある沖縄。
その結果、アルコール性肝疾患の死亡率は全国平均の約2倍だそう!
また「節度ある適度な飲酒量」を知っている人の割合は、全国の5割に対して2~3割にとどまっているとか。
うむむ。

今回は健康おきなわ21のコラボ企画として「適正飲酒で健康を!」を合言葉に、宮古島に行ってお酒の魅力や飲み方について考えてきました。


宮古島市役所にあったアルコール適正量表。
男女や体の大きさによっても違いますが、適量は思っている以上に少ない

コラボ企画

健康おきなわ21
健康おきなわ21
この記事は「健康おきなわ21」のタイアップ記事としてお送りします。
沖縄県では適度な飲酒量を推奨しています。また未成年、妊産婦の飲酒は絶対にやめましょう。

宮古島にはオトーリがある

宮古島まで行った理由は、なんといっても沖縄県内で一番お酒を飲んでそうで強そうな人がいそうだから(個人の感想です)。
これは宮古島の飲酒の風習であるオトーリのせいなんですが。オトーリ廃止条例が承認されたお祝いにオトーリしたとか、「オトーリはやめましょう(止めましょう)」という標語を「はやめましょう(早めましょう)」と読んだとか、逸話がたくさん。

ちなみにオトーリの方法として一般的なものは、

1.車座になった飲み会の場で参加者の中から「親」が出てみんなの前で口上(こうじょう)を述べた後、小ぶりのグラスに注がれた泡盛を飲む
(親が口上を述べている間は職場や年齢などの上下関係は関係なし。静かにきちんと聞くのがマナーです)
2.隣の席の人にグラスを渡して泡盛を注ぎ飲ませる
3.それを順々に参加者全員に行う
4.最後の人まで回るとその人が親にグラスを渡して泡盛を注ぎ、親は飲み干す
5.そして親は再度口上を述べ、次の親を指名する

これが親1人の1サイクル。
このサイクルを参加者全員が親として行い、一巡してそのオトーリは終わります。
※上記は一般的な例で、人数が多い場合はまた違うやり方もあるそうです。

つまり参加者は、オトーリの親としてグラスに2杯+他の参加者が親となったときに飲む1杯を最低飲むことになります。
5人でオトーリを回すと最低でも6杯。

しかもオトーリは会の最初からやるものではなく、途中から親になる人が宣言して始まるものなので、結果的に相当の飲酒量になってしまいそうです。

オトーリの現状を聞く

オトーリについて宮古島の人はどう考えているのかを聞こうと、宮古島観光協会にやってきました。
取材に応じていただいたのは宮古島観光協会の池間専務理事と根間事務局長。
さっそくお話を伺いました。

mio

まず初めにですが、宮古島の人はなぜオトーリをするのでしょうか?
ikema
小さい頃から大人たちがやっていたので、なんでだろうとは思わなかったですね。
でも、自分が大人になってやりながら感じたことは、すごく良い輪が持てる。初対面の人とでもすぐにフレンドリーになれる、ということです。
自分はオトーリには良いイメージしかないです。
nema
今はオトーリを強制的には飲ませないことになっているんです。
観光協会から販売しているこのコップもそういうことです。
泡盛を注ぐ時に「どこまで注ぎますか?」と聞くようになっています。
飲めない人にはお酒をすすめない。烏龍茶のグラスで乾杯するだけでもいいんです。
今は優しいオトーリなんですよ。


宮古島観光協会で販売されているオトーリグラス。ここまで注いでくださいという線が描かれている

mio

昔はどんなオトーリだったのでしょうか?
ikema
昔は飲めない人にも半強制的に飲ますという感じでした。
那覇の人が出張で石垣には泊まりたいけれど、宮古島はオトーリがあるから泊まりたくない、といった話もあるほどでしたよ。

mio

オトーリの始まりは?
ikema
諸説ありますが、主流は少ないお酒をみんなで平等に分けて飲もうという説ですね。
オトーリ発祥の地は上野だと言われていますが、あそこではどうせ飲むならと1つのグラスを回すのではなく、人数分最初から用意するということもあるそうです。


オトーリは神事として始まったという説もあり、宮古島平良市総合博物館には「角皿(ツヌジャラ)」という酒器が収蔵されている。写真はレプリカ。

オトーリ効果で話が上手になる

mio

お二人はどのぐらいの頻度でオトーリをしていますか?
ikema
うーん、酒座(飲み会)のときには必ずオトーリはまわりますよ。
仕事関係の酒座などでもまわります。
ここは観光協会なので仕事で県外から来る人も多く、週に3〜4回ぐらいお酒を飲む機会があります。
なので歓迎の挨拶として、オトーリの文化ややり方を紹介しながらまわして、という感じでやると場が和みます。
オトーリをするとみんな口上を述べる機会があるので、初対面の人でもどんなことを考えているのかわかるので、話しやすくなります。
nema
そう、良いところはオトーリを回す親になった人は必ず口上を述べないといけないところです。
ある意味宮古島の人はオトーリをしているのでスピーチが上手です
口上はだいたい1分ぐらいですね。立ちあがってやります。
転勤で来た人がオトーリをやるようになって、話が上手になったという話もよく聞きますよ。
mio

オトーリでの失敗談はありますか?
ikema

ないですね!
mio

おおお!
nema
私はしょっちゅうあります(笑)
だれとどんな話をしたのかも忘れて…楽しかった記憶はあるんですけど。
あと失敗談というか、最近わかったのはオトーリは時間制の飲み放題でやるもんじゃないということ。
いくら良い口上を述べても「はやくまわせー!」という雰囲気になって、よくわからないようになります(笑)
ikema

先ほどはないと言いましたが、ちゃんと帰ってもどうやって、タクシーなのか徒歩なのか帰ったのかを覚えてないことはありますね(笑)


失敗をしょちゅうしてしまうという根間さんはオトーリ免許書の所持者


オトーリ免許書は宮古島市観光課さけふぁや実行委員会が発行していたそうですが、現在は発行されていません

女子会や二次会でもオトーリは続く

mio

過去に上野村ではオトーリ廃止条例が出されたこともありますが、今でも続く要因はなんでしょうか?

※昭和58年上野村で青少年による交通死亡事故が続いたことを受けて「オトーリ廃止に関する決議」が承認された。

ikema
オトーリを廃止しないといけない状況なら僕は賛成します。
でもオトーリが問題なのではなく、やる人の問題だと思います。「節度ある飲み方をしましょう」ということではないでしょうか。
先ほどオトーリをしたくなくて石垣には泊まるけど宮古には泊まらないという話をしましたが、今はオトーリのやり方が変わって来たこともあり、逆に夕方に宮古に来て翌朝帰っていくぐらいオトーリ目的で宮古島に来る人もいるんですよ。
mio

オトーリが観光資源になっているんですね!
ちなみに生粋の宮古島の人で下戸の人はいるんでしょうか?
nema

うーん、いるかな。
ビール党とかはありますけど。
ikema

飲めない人はまわりにはあんまりいないですね(笑)

mio

オトーリは泡盛以外ではしないのでしょうか?
ikema

以前ビールでしたこともありましたが、僕にはきつかったですね。
お腹がいっぱいになるし、泡盛の方が酔いにくい。
nema

30度の泡盛でするとして水と氷で割るので、だいたい8〜9度ぐらいのアルコールになっています。
mio

オトーリは若い人もするんでしょうか?
ikema

すると思いますよ。
話では女子会でもする人がいるとか(笑)
mio

オトーリは1次会だけで終わりますか?
nema

いや、二次会、三次会でもまわるかな。
ikema

どんな酒座(飲み会)かにもよりますが、やりますね(笑)

コラボ企画

健康おきなわ21
健康おきなわ21
沖縄県は「節酒カレンダーアプリ」を開発しました。
飲酒量をスマホアプリで管理し、飲酒状態の判定も確認できるそうです。

オトーリは最高のコミュニケーションツール

mio

オトーリは宮古の人には欠かせないことがわかりました
ikema
はい、やはりオトーリはいいものですよ。
わたしたちはオトーリをコミュニケーションドリンクと呼んでいます。
全員が親となって口上を述べるので、人の気持ちを聞きやすい。
初対面の人とでもすぐに仲良くなれるのでいいと思います。
ぜひ機会があればやってみてくださいね。
mio

やってみたいです。ありがとうございました!

適正飲酒量を守れるオトーリはできるのか?

ということで、オトーリ楽しそうですよね!

しかし、いくら良い点があるとはいえ、やはりお酒。飲み過ぎてしまったり、何を話したか忘れてまう、いいことを聞いた気がしたのにそれも忘れてしまう(!)というデメリットも浮かんで来ました。

もちろんこれはオトーリに限らず、日頃の飲酒でも同じです。冒頭でも述べましたが、沖縄のアルコール性肝疾患における死亡率は全国平均の約2倍!
適正な飲酒量については、以下のアルコールサイトからぜひ確認してみてください。

どうしたら私たちは適正飲酒を守りつつ、楽しくオトーリができるのでしょうか。
健康おきなわ21コラボ企画の後編では、居酒屋に宮古島の人たちに集まってもらい、適正飲酒量を守れるオトーリを提案してみたいと思います。
みなさん車座になって次回の特集をお待ちください。

後編はこちらから

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