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なかよしパンのカエルにはなぜヘソがあるのか ― ぐしけんパンの謎にせまる

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カエルのキャラクターが愛らしい「なかよしパン」。このカエルにはヘソが付いているがなぜなのか。株式会社ぐしけんにてその真相を聞いてきた。

「なかよしパン」はぐしけんパンから発売されている、沖縄を代表するローカルパンです。

しかし、このなかよしパン。ずっと疑問に思っていることがありました。

それはこのカエル。愛らしい姿ですが、お腹に注目ください。ヘソがあるのです。

カエルといえば、両生類。本来ならばヘソなど存在しないはずです。ということはこのキャラクターはカエルではないのでしょうか?この謎は多くの人が疑問に思いつつも(僕だけ?)、長らく解明されていませんでした。

というわけで、その謎を明らかにすべく、ついになかよしパンを販売している、株式会社ぐしけんに取材を申し込むことができました。なかよしパンのカエルにヘソがある理由とはいったい…!

 

なかよしパンには深い理由があった

今回お話をおうかがいしたのは株式会社ぐしけん 営業部の嘉手苅厚治さん。さっそくお話を聞いていこうと思います。

― 本日はよろしくおねがいします!まずは御社の沿革についておうかがいしたいのですが。

弊社の創業は1951年ですね。創業者の具志堅秀一が宜野湾市で具志堅製菓として創業したのが始まりです。まだ戦後でそう栄養の高いものがない時代に、より栄養のあるものを作ってみんな元気になって欲しいという想いがあったそうです。もともと創業者は戦後に米軍の食堂で働いていたそうで、そこで身につけた技術を使ってパンを作っていたらしいですよ。

― 現在のうるま市に会社が来たのはいつ頃なのでしょうか。

13年でしょうか。その前は西原工場、屋宜原工場というのがあってそこで作った物を宜野湾から出荷するという形でしたね。

屋宜原に工場があった時代の工場見学のノベルティ
現在は工場見学は行っていないそうです

― さて、なかよしパンについてお話をうかがいたいと思います。なかよしパンはいつ頃からある商品なのでしょうか?

なかよしパンはですね。発売から50年以上経っているということは分かっているのですが、何年に販売を開始したかは正確には分からないですね。当時携わった方々がもういらっしゃらないので。

― あのパッケージは昔から変わっていないのですか?


創業30周年の会社案内から。すこしパッケージは違うがカエルは今とおなじ。

はい。パッケージのデザインは昔からほぼ変わっていないです。

― なぜなかよしパンのパッケージにカエルが描かれているのでしょうか

どうも聞いた話では創業者が戦後ニューギニア出征から帰ってきているので、「無事に帰る」「お金が返る」「福を迎える」「よみがえる」「たちかえる」ということで縁起のよいものとしてカエルをキャラクターにした経緯があるそうです。また、名前の由来ですがボリュームがある商品で、大切な家族とわけあって食べられるようにというところから「なかよし」という名前になったと聞いています。

― あのカエル、「秀一くん」という名前なのは本当なのでしょうか?


なかよしバナナクリームのカエルのオーバーオールには「秀一くん」のSマークが

はい。カエルは「秀一くん」と言います。もう亡くなりましたが創業者の具志堅秀一の名前を取ってつけられています。ですが、これが当時から呼ばれていたかといえばそうではなく、いつからかそう呼ばれるようになったようです。

― なんであのカエルにはヘソがついているのでしょうか?

これはですね…。私も疑問に思っているのですけど、実は誰も知るものがいないんです。正直、多くの人からこれまでも「なぜヘソがついているのか」という質問は頂いたのですが誰も答えられないという。ですので「企業秘密」と答えるようにしています(笑)。

なかよしパンの発売は50年以上前なので、パッケージについては創業者も携わっていると思うんです。色々話は聞いてみたのですが、なかよしパンの包装を扱っている会社の方も知りませんでしたね。そちらにも当時の方はもういらっしゃらないということで。

 

売れているパン、売れなかったパン

― 今御社ではどれくらいのパンのラインナップがあるのでしょうか

だいたい150-160品目くらいでしょうか。ぐしけんオリジナルのものと、例えばスーパーマーケットのプライベートブランドみたいなものを全て含めてですね。

― 販売されているもので売れ筋を教えて下さい

売れ筋の定番ですと、上位を占めているのはなかよしパン、なかよしピーナッツ、あとはサンドイッチロールですね。食パンも入れるとまだありますが。今でいうとなかよしココアクリームはかなり売れいますね。あとは最近シロップがかかったホットケーキを出しているのですがそちらも結構売れています。


サンドイッチロール。ロールパンにすでにマーガリンがはさまっている。

― 過去売れなかったパンもあるのですか

ありますあります。

例えば少し前に復刻されたのですが、ふっくらしたパンをカステラの皮で包んだUFOパン。デニッシュ生地のパンにクリームを挟んだ「Kings」というパンの中身のフィリング(パンに挟むクリーム)を変えた「Queens」とかですね。


ラムネあんパンはDEEでも記事になっています。

あとは最近で言えばラムネあんパンですかね。結構ラジオでお話ししてもおいしいよ!って反応だったのですが、数字だけ見るとやっぱり売れていないと。というわけで終売になっています。

― 「Kings」は割と好きなんですが姉妹品があったんですね…!


Kingsはデニッシュ生地のパンに甘さ控えめのクリームがはさまっているパン。割とハマる。

「Queens」と「Princess」がありました。同じパンを使って、中身のフィリングが違う姉妹品ですね。もう何を挟んでいたかは覚えていませんが…チョコだったかな。トランプみたいな展開を目指していたのですが、Kings以外の他の商品はなかなか定着せずに続かなかったという経緯があります。

 

あのパンのパッケージについても聞いてみる

― ぐしけんパンといえば「健康パン」も割と昔ながらの商品だとおもいます。このパッケージの人は何者なんでしょうか?


これが健康パン


女の子…なのか?すごく味のある顔をしているのだ。

健康パンについては発売年がはっきりしていて、1966年に発売されています。1950年代は菓子パンを中心に作っていたのですが、1960年にパン給食が実施され、徐々にパン食が主食として注目された頃の商品ですね。

パッケージの女の子ですが、なかよしパン同様、はっきりしたことは誰も分からないのですが弊社の40周年記念誌にその当時の写真があってですね。

その当時工場で働いていた女の子が、ちょっと似ているよねという話は出てましたね。確証はないのですが…。

― 健康パンは今の食パンからしたら独特な大きさだと思うのですが売れているのでしょうか?

ぐしけんパンは中部からスタートしたので中部では強いですね。南部にいくと、普通の食パンの方が売れています。当時に比べれば色々な食パンのラインナップが増えましたのでそっちの方がやはり強いですね。

― もう一点。「チーズスナック」という商品がありますが、あの風景、いったいどこなんでしょうか。


前に記事でも書いたのだが、殺風景すぎないだろうか。

あれは牧場のイメージなのだと思いますよ。実は昔は雲の箇所に「100」と値段が書かれていたんです。消費税の導入でパッケージに売価を書くわけにはいかなくなったので、「100」という文字を取ったんですね。なのでちょっと殺風景に見えるのだと思います。

― なんと…!ちゃんと理由があったんですね!!!

 

新作パンとこれから

― 本日は色々貴重なお話をありがとうございました!ちなみに毎回なかよしパンの新作を楽しみにしているのですが、新製品はどのようにできるのでしょうか?

新商品は生産と開発と営業で集まって、意見交換をして作っていますね。あとはフィリングをメーカーに作ってもらって、そこから試行錯誤して新製品を作ることもあります。

― 企画からどれくらいで発売されるものなのでしょうか?

企画からすぐ製品が出ることもありますけど、結構時間がかかるものはありますね。期間的には1ヶ月から長くて3ヶ月くらいでしょうか。ある程度これは、というフィリングが見つかっていると早かったりします。

― 前にひとつのパンで2つのクリームを使ったなかよしパンがありました。もっと沢山の種類のクリームも使ったりできるのでしょうか?

2種類のクリームについては工場にクリームを絞る機械があるのですが、それが交互にクリームを絞れるようになっているんです。3種類はどうだろう…?試したことはないですが、いけるかもしれませんね。

― また新作のなかよしパンも楽しみしています!

 

カエルのヘソは謎のままだった


本編と関係ないのですが、昔の会社案内の写真が衝撃的でした。少年の貫禄がすごい。

以上、ぐしけんパンでなかよしパン含めてインタビューでした。結局なぜカエルにヘソがあるかは謎のままでしたが、色々貴重なお話を聞くことができました。


ぐしけんパンの昔のロゴマーク。鳩がモチーフで「幸せを呼ぶ」という想いが込めれているのだとか

当時のことは不明な点が多いですが、戦後栄養のあるものをと創業した経緯や無事に帰るという意味のカエル、家族みんなで分け合ってという意味の「なかよし」というネーミング…。「なかよしパン」には戦後の沖縄の人々に寄り添ってきた想いを感じました。

ヘソの謎はさておいて、平和な時代をなかよしパンとともに噛みしめましょう。

お話を聞かせて頂いた嘉手苅さん、取材の手配をしていただいた濱田さん、どうもありがとうございました!!

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