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【入りにくい店に入ってみた】タルト屋
沖縄の街を歩いていて大通りからふらっと路地裏などに入ってみると、営業しているのかいないのかも分からない、ものすごく入りにくい雰囲気のお店に出会うことがあります。
通るたびに気になって興味はあるのに、扉を開けるのにすごく勇気がいるような。
そこにあえて挑戦していくシリーズ、名づけて【入りにくい店に入ってみた】。
閉店してしまったお店も増えてきたので、この記事がみなさまの思い出になれば幸いです。
第1回:食堂 自流(閉店しました)
第2回:カムイラーメン喫茶(閉店しました)
第3回:平和食堂
第4回:聚楽苑(じゅらくえん)
第5回:マカビペット店
第6回:お食事の店 ホームラン
第7回:すきやき&おでんハウス 笑
第8回:USレストラン
第9回:宮古島の丼喫茶
第10回:お食事処 栄(閉店しました)
第11回:マイハウス
第12回:司屋
第13回:三星レストラン(閉店しました)
第14回:みえばし
第15回:喫茶スワン
第16回:小料理キヨちゃん ぱんぷきん(閉店しました)
第17回:金の椅子
第18回:垣花食堂
第19回:琉球薬草本舗
第20回:ゲンキ食堂
21回目を迎えた今回は宜野湾市真志喜にある「タルト屋」さんに行ってきました。
行こう行こうと思いつつ何度か前を車で通り過ぎてしまうほど入りにくいお店でした。しかし、勇気を持って入ってみるとそこには…。
私の中で「入りにくいお店」の概念が揺らぐようなお店だったのです。
タルトって本当にあのタルト?
こちらがタルト屋さんの外観。
国道58号線沿いにあるので、見覚えがある人も多いのではないでしょうか。
手作り感のある看板。
タルト屋と書いてあります。
上の方には英語看板。
T take out
a ll $5
r easonable
t hank you
と1文字目を縦に読むとTart、そしてそれぞれを頭文字にして
「テイクアウト、オール5ドル、リーズナブル、センキュー」
看板だけをみるとタルトを売ってるのかなーとは思うのですが…うーん、なんでしょう。
「スナックほおづき」の看板のせいでしょうか、お店の前に止まった軽トラ(わりといつもある)のせいでしょうか、それとも建物全体の感じのせいでしょうか。
ビスケット生地の上にフルーツが並ぶ、あのタルトが売っているとはどうしても思えないのです。
今日こそ入ってみようと思うのですがなかなか勇気が出ず、何度か前を通り過ぎる日が続きました。
でてきた店主に驚く
しかし、記事の締め切りはどんどん近づいてきます。
スケジュールにぐいぐい後押しされる形で、ある日わたしはとうとうそのお店の前に立ったのです。
ここまでの写真を見たみなさんはどんな人がお店をやっていると想像しますか?
わたしの想像では、
・おじさん
・年齢は50歳〜60歳
・おしゃれそうなタルトに手を出してみたけどおよそタルトとは思えないようなものを売っている
・キャラ濃そう
こんな感じでした。ああ、ハードル高いわ。
しかし、記事のスケジュールが!
よし、もうどんな人でも出てこい!と気合を入れて、お店に一歩入ってみると、ついたてにおいしそうなタルトの写真が並んでいました。
そして、「こんにちはー」と声をかけるとついたての後ろから顔を覗かせたのは...
「はい、いらっしゃーい」
えええ!若っ!
男性ということ以外の想像をすべてぶっちぎって、若くてオシャレで小綺麗なオーナーが現れたのです。
お名前を久志大樹さん。
タルト屋を開いた経緯などを聞かせていただきました。
オーナーに話を伺った
-このお店はいつからやられているんですか?
今年の8月1日にオープンしました。
看板も手作りでやっています。
宜野湾はスイーツが集中していてオシャレなタルト屋さんもたくさんあるんですが、その中でも新しいことをやってみたくて。
-新しいこととはどんなことなんでしょうか?
もともとタルトが好きというのと、前職のノウハウが活かせられるかなと。
大手のパンメーカーで11年働いていました。そのあと5年ほどはパンの製造指導などをしていたんです。なので原価がわかるし、だから他との差別化でどうにか1コインで売れないかと。タルトの生地は18cmあります。それを全種類500円で。テイクアウトで販売しています。
全品500円でテイクアウトできます
-めちゃくちゃ安いですね!
そうです。そこが革命というか、タルトって高いというイメージがあると思うんですが、こんなに手軽に食べられるということを知ってもらえたら。
一番人気は金時豆なんですが、豆なんか見たことがないというと言われつつ、食べてみるとコーヒーや紅茶に合うと喜ばれます。
焼いたものを冷凍して翌日に販売するスタイルなんですが、冷凍庫で10日、冷蔵庫で3日保存できます。
食べる1時間ぐらい前に冷凍庫から出してもらえれば、美味しく食べてもらえますよ。
一番人気の金時豆タルト
-お客さんはどんな感想をいわれますか?
甘さ控えめなのでまた食べたくなるという声が多いです。
オープン前にたくさんテストしたんですけど、砂糖を減らしてもおいしさは変わらなかったんです。じゃあヘルシーだしそれがいいなと。
生地だけの販売もしています。生地だけ買ってもらって上のものは好きに盛り付けてもらえたら。
お子さんの誕生日会に何個も買って行って、みんなで楽しく作ったよというお客さんもいますよ。
-このお店はもともとはスナックなんですよね?
ついたての奥に見えるスナック感
今でも80歳の祖母がスナックをやってるんですよ。この辺りでは一番の長老じゃないかな。
夜に通る人は赤提灯が付いているので、おばあちゃんがタルトを作り始めたと思うみたいです。「おばちゃんどうにかしたんじゃないか」と常連さんが心配したりして(笑)
「いや、婿が朝昼使っているんだよ」と。
最初はおばあちゃんも「タルトってなんね?」って言ってたんですけど。「クッキーみたいなもんだよ」と。
でも今ではスナックの常連さんに売ってくれて、奥さんにお土産に買って行ってくれたりとか、泡盛に合うと食べてくれる人がいるみたいです。ありがたいです。
-いい話(笑)
ところで、あのポスターは久志さんですか?
そう。実は組踊と琉球舞踊の太鼓をやっているんです。
お店も芸能の仕事があるときは開けられないので、FacebookページとInstagramでは告知はしているんですが、不定休なんです。
-あの、実はこの取材記事を「入りにくいお店」として出したいんですがいいですか?
どうぞどうぞどうぞ!全然いいですよ、謎のお店として!(笑)
この前の道路がめちゃくちゃ混むので、車からめちゃくちゃ見られるんですよね。外を掃除している時に目があうと「まさか!」というような顔をされますよ。やっぱりギャップあるんですかね?
-ギャップありすぎました!
タルトを買って帰りました
ということで、タルトを買って食べてみました。
2つでも1,000円なのでお土産にいいですね
りんごのタルト
これが本当に美味しかったのです。
どちらも生地はサックサック。金時豆のタルトはぜんざいが好きな沖縄の人に人気なのがわかります。りんごのタルトも生地が甘さ控えめなのでりんごの甘さを存分に楽しむことができます。
ということで、入りにくいと思っていたのに入ってみたら「あの感覚は間違いだったのか」と思うぐらい素敵なお店とオーナーさんでした。
これを読んだら入りにくさはなくなると思うので、みなさんぜひ美味しいタルトをテイクアウトしに行ってみてください。
タルト屋
宜野湾市真志喜1-8-2
090-4470-8118
Facebookページ
(夜はおばあちゃんのスナックになります)