2020.09.29

【連載】ハブでも分かる!?遺老説伝 Vol.29

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1740年代に琉球王国の歴史書として編纂された『球陽』の外巻である『遺老説伝(いろうせつでん)』。首里政府が各地に命を出して集めたとされるその内容を、漫画でゆるく描き下してみるという連載です。

ハブでも分かる!?遺老説伝

『ハブでも分かる!?遺老説伝』とは

『遺老説伝(いろうせつでん)』は1743年から1745年にかけて琉球王国の正史として編纂された『球陽(きゅうよう)』の外巻で、各地の御嶽や行事の由来、珍しい出来事などを首里政府が各地に命令を出して集めたものとされています。

当連載『ハブでも分かる!?遺老説伝』は、"ハブでも分かる" をコンセプトに、原文(漢文)をそのまま読み解くには難解すぎる『遺老説伝』を、沖縄出身の芸大生・吉元あきこが漫画で描き下してみる、という試みです。ただ、本当にハブでも分かるかどうかはハブのみぞ知るので悪しからず。

*当連載の内容はすべて史実というわけではなく、フィクションが大いに含まれていますのでご了承ください。

第29回『夫人の仇討 -4・完』

前回の話はこちらから

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夫人は二丁の鑿(のみ)を懐深くしのばせ一人の娘をつれて、我瀬之子と三名で山に登りました。

太い大木の下に来た時、夫人が
「ここの木蔭で休みましょう。」
と娘に持たしてあった莚(むしろ)を敷かせ、酒と肴をすすめました。

我瀬之子は、夫人の美しさに心を奪はれていたので、夫人のたくらみ等露程も知らず、強い酒を進められるままガプガプと飲み、酔いの勢いで夫人にしなだれかかりました。

「一寸待って下さい、この木は空高くそびえ太くて、二人の新しい家の大黒柱にいたしとうございます。どれぐらいあるか計(はか)っていただけませんか?」
夫人の言葉に、よろよろと立ちあがり
「よしよし、可愛いい、お前のために......」
と大木を抱き、ドロンとした眼で天を仰ぎました。

―今だ―と心に叫んだ夫人は両手に鑿(のみ)を持って、我瀬之子を抱くようにして揮心の力をこめ、その両掌(りょうてのひら)に、グサッと打ち込みました。

不意のことに、酔いも一変に醒めた我瀬之子は身動きも出来ず
「儂が悪かった。許してくれ、命だけは助けてくれ。」
と泣き、わめいたが、キッとなった夫人は、その邪心、悪業を心行くまで罵(ののし)り、今までの積る怨みを晴し、後から心臓めがけて短刀で刺し殺し、目出度、夫按司の仇を討ちました。

『琉球民話集 全巻 球陽外巻遺老説伝口語訳』 P29 - P35より 琉球史料研究会編(1963年)

<バックナンバー>
プロローグ『クバとハナ』/第1回『那覇という地名の由来』
第2回『田芋のふるさと』
第3回『天久宮の伝説・前編』
第4回『天久宮の伝説・中編』
第5回『天久宮の伝説・後編』
第6回『辺戸の星窪』
第7回『羽地祝女』
第8回『邑(ムラ)を作った兄弟・前編』
第9回『邑(ムラ)を作った兄弟・後編』
第10回『神々の遊び』
第11回『貫玉』
第12回『普天間宮の伝説-1』
第13回『普天間宮の伝説-2』
第14回『普天間宮の伝説-3』
第15回『普天間宮の伝説-4』
第16回『普天間宮の伝説-5』
第17回『西表島の祖納堂』
第18回『水の恨み・前編』
第19回『水の恨み・後編』
第20回『御水マラソン』
第21回『おもろそうし』
第22回『睡虫次良・前編』
第23回『睡虫次良・後編』
第24回『時双紙』
第25回『城殿』
第26回『夫人の仇討ち-1』
第27回『夫人の仇討ち-2』
第28回『夫人の仇討ち-3』
第29回『夫人の仇討ち-4・完』

ゲストライター

吉元あきこ
沖縄で生まれ育ち、京都の芸術大学を卒業。地元を愛し、沖縄マンガを描くことを生業としています。Twitterで作品を公開中です。
実はキジムナーに会ったことがあるのが自慢ですが、よく覚えていないことが残念。
好物はジミーのアップルパイ。
ワラビーにて「5年1組 でいご通信」連載中。
twitter:https://twitter.com/8dydpxGguooAzWM

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