2021.06.03

【連載】ハブでも分かる!?遺老説伝 Vol.32

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1740年代に琉球王国の歴史書として編纂された『球陽』の外巻である『遺老説伝(いろうせつでん)』。首里政府が各地に命を出して集めたとされるその内容を、漫画でゆるく描き下してみるという連載です。

ハブでも分かる!?遺老説伝

『ハブでも分かる!?遺老説伝』とは

『遺老説伝(いろうせつでん)』は1743年から1745年にかけて琉球王国の正史として編纂された『球陽(きゅうよう)』の外巻で、各地の御嶽や行事の由来、珍しい出来事などを首里政府が各地に命令を出して集めたものとされています。

当連載『ハブでも分かる!?遺老説伝』は、"ハブでも分かる" をコンセプトに、原文(漢文)をそのまま読み解くには難解すぎる『遺老説伝』を、沖縄出身の芸大生・吉元あきこが漫画で描き下してみる、という試みです。ただ、本当にハブでも分かるかどうかはハブのみぞ知るので悪しからず。

*当連載の内容はすべて史実というわけではなく、フィクションが大いに含まれていますのでご了承ください。

第32回『樽良知(たらーち)と大里鬼(うふざとうに) -2』

前回のお話はこちらから

32.jpg

その時分、大里間切に大里鬼(うふざとおに)という手のつけようのない強力の暴(あば)れ者がいました。
樽良知の噂を聞き嘲笑(あざわう)い、「よし一つ力試しを申しこんでやろう」と、鉄棒をたづさえて、はるばると喜屋武にやってきました。
大里鬼は、一生懸命になって田を耕している農夫に、肩を怒らし威猛々に
「一寸尋(たず)ねる。俺は強力で有名な大里鬼だ、この村に樽良知という、小力のある男がいると聞いて力試(ちからためし)にやって来た。樽良知の家を教えろ」
農夫は冷やかな笑を一寸ロのあたりに浮べ
「そうですか、それぢや一寸、その鉄棒を貸して下さい」
大里鬼から鉄棒を受け取った農夫は、軽々と片手で持ち上げ、土の固いところに突き挿(さ)しました。石の大里鬼も眼を白黒させていると、農夫が、
「大里鬼さん、私は榑良知の下男だが、主人の力はまづ俺の倍だろう。さあ、この棒を抜き取って見なさい。そうすれば貴方の力も見当がつくでしょう」
ムッと真っ赤に怒った大里鬼が
「なにを小癩なッ」
と、ありったけの力を出して鉄棒を抜こうとしたがビクとも動きません。
脂汗がダラダラと流れ、その豪力の恐ろしさに次第に青くなった大里鬼は、鉄棒を捨てたまま一目散に逃げ帰りました。 実は下男といった男が樽良知だったのです。(続く)。

『琉球民話集 全巻 球陽外巻遺老説伝口語訳』 P215 - P216より 琉球史料研究会編(1963年)

大里で鬼と言えばムーチーの由来譚の鬼が有名ですが、同一人物なのでしょうか。気になるところです。

<バックナンバー>
プロローグ『クバとハナ』/第1回『那覇という地名の由来』
第2回『田芋のふるさと』
第3回『天久宮の伝説・前編』
第4回『天久宮の伝説・中編』
第5回『天久宮の伝説・後編』
第6回『辺戸の星窪』
第7回『羽地祝女』
第8回『邑(ムラ)を作った兄弟・前編』
第9回『邑(ムラ)を作った兄弟・後編』
第10回『神々の遊び』
第11回『貫玉』
第12回『普天間宮の伝説-1』
第13回『普天間宮の伝説-2』
第14回『普天間宮の伝説-3』
第15回『普天間宮の伝説-4』
第16回『普天間宮の伝説-5』
第17回『西表島の祖納堂』
第18回『水の恨み・前編』
第19回『水の恨み・後編』
第20回『御水マラソン』
第21回『おもろそうし』
第22回『睡虫次良・前編』
第23回『睡虫次良・後編』
第24回『時双紙』
第25回『城殿』
第26回『夫人の仇討ち-1』
第27回『夫人の仇討ち-2』
第28回『夫人の仇討ち-3』
第29回『夫人の仇討ち-4・完』
第30回『進貢船』
第31回『樽良知(たらーち)と大里鬼(うふざとうに)』

ゲストライター

吉元あきこ
沖縄で生まれ育ち、京都の芸術大学を卒業。地元を愛し、沖縄マンガを描くことを生業としています。Twitterで作品を公開中です。
実はキジムナーに会ったことがあるのが自慢ですが、よく覚えていないことが残念。
好物はジミーのアップルパイ。
ワラビーにて「5年1組 でいご通信」連載中。
twitter:https://twitter.com/8dydpxGguooAzWM

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